サウジは、お酒が飲めないってどうしてなの?|他の湾岸諸国は、どうなの?
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この記事では、サウジアラビア滞在歴35年のカマルが、サウジ生活でカルチャーショックを受けながら経験してきたこと、感じたことなどをつれづれに書いています。
世界中には、国によりいろんな文化、習慣があります。
日本人に取っては、当たり前であることも他の国では非常識であったりします。
また逆に日本では、非常識なことがその国では、当たり前のことだったりします。
サウジアラビアでは、どうしてお酒を飲んじゃだめなの?
Contents
サウジアラビア王国は、現在でもコラーン(日本では、コーランとよばれている)とスンナ(ムハンマドの慣行と範例)を基準に憲法が定められています。
またこのサウジアラビア王国の国王は、毎年巡礼時には、世界中から300万人近い巡礼者が訪れる メッカと最後の預言者ムハンマドのお墓がある メディナの2つの聖都の守護者でもあります。
それゆえに、サウジアラビアの国王は、イスラームを守るべき立場にあり、イスラム教の盟主でもあります。
そのような立ち位置からサウジアラビアは、イスラムを国家理念とし法体系の基礎としていかなければならない運命を背負っています。
禁酒は、コラーンに書かれている
コラーンは、イスラム教の聖典です。
コラーンの意味は、 詠唱すべきものという意味があります。
そして実際にコラーンを聞くとわかりますが、詠唱して音韻を踏むように書かれています。
詠唱とは、「節をつけて唱える」という意味で、コラーンを聞いているとなぜか心が安らかになってくるんですね。
詩に節をつけて日本人の心を歌う伝統 芸道である日本の 詩吟に似ています。
コラーンは、最後の預言者ムハンマドが、40歳のときの610年から亡くなるまでの22年間に神様から受けた啓示です。
※天使ジブリール(ガブリエル)によりアラビア語で神様のみ言葉を受けました。
ムハンマドは、その啓示を書にはしませんでした。
詠唱で伝えていき、後に人々が記憶してまとめたものです。
現在のコラーンは、7世紀中頃に第3代正統カリフであるウスマーンにより完成されました。
※天使ジブリールは、キリスト教では(ガブリエル)と言われている。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教に存在する最も偉大な天使で神の御言葉を伝える役割を担う。
禁酒については、「コラーンの第2章雌牛章」と「第4章食卓章」に書かれています。
これは、のサイト「第2章 雌牛章アーヤ219」から抜粋しました。
2-219。
かれらは酒と、賭矢に就いてあなたに問うであろう。言ってやるがいい。「それらは大きな罪であるが、人間のために(多少の)益もある。だがその罪は、益よりも大である。」またかれらは、何を施すべきかを、あなたに問うであろう。その時は
、「何でも余分のものを。」と言ってやるがいい。このようにアッラーは、印をあなたがたに明示される。恐らくあなたがたは反省するであろう。引用元:イスラームのホームページ
コラーン第2章雌牛章のアーヤ219に書かれている禁酒の理由は、なんなの?
お酒を飲むと気持ちが良くなり、ストレス解消にもなりますが、度を過ぎると酩酊状態になり、いろいろと人体に悪い影響を与えることになるからです。つまり、家庭内暴力を起こしたり、喧嘩に発展したり、交通事故を起こしたり様々な悪いことが起きると示唆していますね。
これは、世界的に通用する普遍的な理由ですね。
次の文は、「第5章食卓章アーヤ90と91」からの抜粋になります。
5-90。あなたがた信仰する者よ、誠に酒と賭矢、偶像と占い矢は、忌み嫌われる悪魔の業である。これを避けなさい。恐らくあなたがたは成功するであろう。
5-91。悪魔の望むところは、酒と賭矢によってあなたがたの間に、敵意と憎悪を起こさせ、あなたがたがアッラーを念じ礼拝を捧げるのを妨げようとすることである。それでもあなたがたは慎しまないのか。
コラーンの第5章食卓章アーヤ90と91に書かれている禁酒の理由は、なんなの?
もう一つの理由は、お酒を飲むと礼拝を捧げることを忘れてしまうから飲んではいけないということが書かれています。
そう、イスラム教では、一日に5回の礼拝があります。
飲酒することによりその礼拝を忘れてしまっては、いけないからです。
サウジ以外の湾岸諸国では、外国人は、飲酒してもいいのはなぜ?
サウジ以外の湾岸諸国では、外国人だったら条件付きでお酒が飲めます。
それは、どこの湾岸諸国でも外国人労働者が多くいるからです。
しかし条件が付いています。
政府からお酒を飲んでもいいという許可証を入手しなければなりません。
その他にも、家の中では、飲んでもいいのですが、外では、飲んではいけないという条件付きです。
つまり公園や海や川など大衆の面前では、飲んではいけないことになっています。
外国人労働者に長くその国に留まって仕事をしてもらうためには、やむおえない選択肢なのですね。
サウジにも実は外国人労働者は、総人口の2.5割ほどいますが、やはりイスラム教の盟主という立場上厳格なイスラム主義を貫かねばならないという運命にあります。
今まで、女性の運転を禁じていた世界で唯一つの国だったのですが、2018年6月からようやく運転解禁になったんですよ。
例えば、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイは、外国人は、飲酒は、オーケーだが、同じアラブ首長国連邦のアブダビやシャルジャでは、外国人でも禁じられています。
ドバイは、国民の90%が外国人という状況の中で、イスラム教徒以外の人が住みやすい環境づくりが要求されるから飲酒が許されているんですね。
サウジの夫が隠れて飲酒していたら、妻に離婚されることもあるって本当?
サウジ以外の湾岸諸国では、外国人だったら条件付きで飲めますが、サウジは、外国人でも禁酒なんですね。
もちろん、自国民には、当然お酒を飲むことは、他の湾岸諸国と同じように禁じられています。
あるサウジ人の旦那さんが、奥さんに隠れて飲酒して、それが発覚してしまい離婚されたという話を聞いたことがあります。
それは、ある意味当然といえば当然です。
国の法律で、サウジ国内では、飲酒が禁じられているのに、それを守らなかったのだから仕方がありません。
つまり、悪い事をして逃亡した犯人をかくまうことと同じ心境なのではないでしょうか。
ただ親族の場合は、犯人をかくまっても罪には問われないそうですが。
でも、国の法律を守れない人、コラーンに書かれたことを守れない人は、夫としての資格がないと思われてもしょうがないかもしれません。
まとめ
イスラム教で飲酒が禁じられている理由は、コラーンに記載されているからです。
サウジアラビアが、サウジ国民のみならず 外国人に対しても禁酒しているのは、コラーンとスンナ(モハンマドの慣行)を憲法にしている厳格なイスラム国家だからです。
コラーンには、酩酊状態になると人間は、良くない行動を起こすリスクがあることと礼拝の努めを忘れてしまうということが記載されています。
サウジアラビア以外の湾岸諸国は、外国人であれば条件付きで飲酒が許されています。
ただし、同じアラブ首長国連邦でも ドバイでは、飲酒できても アブダビやシャールジャは、飲酒は、許可されていませんから注意が必要です。
アラブ首長国連邦は、7つの首長国から成っていて、それぞれの首長国で法律が違います。アメリカが各州ごとに法律が違うのと似ていますね。
以前、日本の 外交官が、日本からお酒を持ち込み アブダビへ入国しようとしたらアブダビの「入国審査」で引っかかり入国できなかったそうです。
その不祥事のあとに、日本から別の外交官がアブダビに入国しようとしたら、お酒を所持していなかったのにもかかわらず 「 前例があるから入国できない」と言われ悔しい思いをした方がいます
パスポート(査証)は、上陸審査での推薦状の意味しかなく、出入国審査官が上陸許可を与える権限をもっていることをまざまざとみせつけた事例ですね。
出入国審査では、このような理不尽な待遇をされることもあるんだと理解しておいたほうがいいですね。
私達も訪問する国の規則を事前に調べておき、他の日本人に迷惑が掛からないようにしなければなりませんね。